偽物 -知識-
知識編の偽物です。偽物を見極めるには、どうしましょうか?絵画を買うには、最低限見分けられないと、騙されてしまいます。自称プロの大手画廊勤め20年以上のキャリアを持った、40代の男性でも偽物を掴まされます。彼が知識がなく業界中の笑いものにされている人であろうとも、仮にも20年以上のキャリアがあり、毎日絵画を見続けた歴史があります。これは本人のプライドの元でもあるので、事実です。ですが、実際には偽物を掴まされ、社長に白い目で見られるという現実があります。こんなプロでも、騙されてしまう。ですが、素人でも、偽物かどうかを簡単に見分ける方法があります。最低限の知識を持ち、騙されないようにしましょう。
■鑑定書
まずは鑑定書です。利権の問題もあり、スキャンをして画像を載せることはできません。ですが、本物の鑑定書と偽物の鑑定書を見分ける簡単な方法があります。鑑定書には、通しナンバーが入っています。このナンバーを元に、東京美術倶楽部に問い合わせてください。東京美術倶楽部発行でないもの(例:横山大観、小倉遊亀など)は、鑑定書に発行元が記載されているので、それぞれ問い合わせてください。そして、発行者と発行日時の記載もあります。ほとんどの鑑定書には、裏面に絵画の写真が貼り付けてあります。これがないと、画題は一緒でも、別の絵画というパターンもあるので、その絵画が本物か解らなくなってしまうため、貼ってあります。
■登録番号
横山大観などの東京美術倶楽部以外で鑑定を行っている作家に関しては、登録番号が発行されます。この番号は、作家の作品が見つかった順で番号が発行され、絵画が誰のものであろうと、鑑定をする人たちが管理するためです。これも、鑑定書の通し番号と一緒で、発行元に問い合わせれば、本物かどうかがすぐに解ります。
■図録掲載
有名な作家に関しては、図録があります。横山大観、川合玉堂、上村松園、前田青邨、杉山寧など、図録を発行している作家は多々います。図録掲載の作品は、値段も高いですが掲載されている分、真贋に関しては間違いなく本物です。ですが、同じ構図でも、偽物の場合もあります。全く同じ構図の絵を、別の人が書いている場合があるからです。本物かどうかの1つの手がかりとしましょう。
■購入場所
絵画の購入場所によっても、信用があります。例えば、街の露天より、画廊の方が信用があります。画廊よりデパートの方が信用があります。画廊よりデパートの方が信用がある理由は、画廊でも偽物かどうかの真贋ができない画廊があるからです。デパートに出入りできる業者は、基本的に真贋ができる業者のみです。これは、デパートの信用にも関わるので、厳しい審査があります。ですが、勤めていた画廊はデパートに出入りをしていても、偽物を売ったことがあります。
■構図
自分でできる真贋は、構図です。川合玉堂がどこかの有名人の人物のアップを描いていたら偽物です。上村松園が風景を描いていたら偽物です。片岡珠子が薄塗りで海の絵を描いていたら偽物です。絵画を見なくても断定できる偽物の作品はあります。購入する時に、「まだ見つかっていない」「他に類を見ない」などの希少価値が高いような売り文句の絵画は危険です。絵画を購入したことがない人は、代表作の中から選んでください。希少価値の高い作品は危険です。
■流れに騙されるな!
老舗の画廊から買ったから、これは本物だ。それが命取りです。なぜなら、老舗の画廊でも偽物を売ります。売りますというのは語弊があるかも知れません。ですが実際に、偽物を販売したことが、私が勤めている中で、知っている限りで2回あります。1回は真贋の結果、本物と断定し、販売。同時進行で鑑定に出していたが、偽物と判明。2回目は、絵画を又貸しで販売。構図が気に入ったため、又貸しされた業者は販売してしまう。もちろん、貸した方は知識が豊富なため、偽物と知りながら、貸していたという事実があります。今から問いただしても、「知りませんでした」という返答があるだけだと思いますが、事実は事実です。
■珍話
鑑定の項目で少し触れていると思いますが、一度鑑定が通ったら取り返しがつきません。後から「やっぱり偽物」ということが効かないのです。その話の怖い所は、鑑定書が発行され、世間的には本物(鑑定書有)。ですが、本当は偽物。そんな物が美術館に入ることが稀にあります。私が知っている中で、川合玉堂の展覧会に行った時にありました。落款が作品の時代と合わないのです。以前から、その作品の噂は聞いていましたが、偽物が美術館にも入ってしまうのです。
プロでも騙される偽物。ですが、素人には素人なりの偽物の見分け方があります。プロは、自分が正しいと思ってしまうものです。そこを突かれて、偽物を掴まされてしまう。そんなことが多いような気がします。偽物を掴まされないためには、1点1点を真剣勝負で迎える覚悟が必要です。