種類 -基礎知識-
絵画と言っても、絵画の種類が多くあります。種類別に解説をし、絵画について多くの知識を得てください。
種類を知らないと、本画(肉筆)を買ったはずが、版画だったなどというオチがあったりします。
画廊の元上司(20年以上勤務の部長)は、本画をお客さんから購入したはずが、印刷だったというオチがありました。
この上司は業界中から、後ろ指を差される典型的なダメ上司の見本みたいな人ですが、20年以上勤務している人でも、立派な額に入れられた印刷を本画と間違えて購入してしまうのです。
普段、絵画に触れていない素人が、騙されるのも無理はないと思います。
ですが、勉強をし、知識を入れていれば、そんなミスをする可能性は抑えられます。
■日本画
日本画は岩絵の具で描かれた絵を日本画といいます。岩絵の具は、天然のものと人工のものがあり、天然の方が値段が高く、色が自然の色なので、表現に幅が持てます。天然のものは、主に結晶や岩石などを細かくしたものが使用されます。この岩絵の具を膠(にかわ)という、接着剤を使用し、キャンパスに貼り付けていきます。金や銀など高価な素材を使用するのも日本画の特徴です。有名な話で、「竹内栖鳳は一枚の絵を仕上げるのに、当時の家一軒分の制作費をかけて、絵を描いた」という話があります。それと、「平山郁夫が亡くなって貴重な素材が手に入るようになった」などの話もあります。この二つの話は、日本画は制作費がかかるのと、貴重な素材を手に入れられるのは、ごく一部の作家であるということです。
話を戻しますが、日本画の題材は、主に春夏秋冬です。比較的近代の作品は違いますが、伝統的な作品は春夏秋冬を表現し、日本人好みの情緒豊かさ、写真ではなくデフォルメの様な表現が多いのが特徴です。
■洋画
洋画は、日本画以外の絵画を指します。描き方は西洋発展の絵画の描き方です。絵の具は、油絵の具を使用し、日本画とは違いチューブから絵の具を出して描きます。学校の美術の時間に描いた絵は、洋画か水彩画です。日本画に触れることは、まずありません。学校の授業でもやることから、初心者でも初めやすい絵画です。表現の仕方は、最近では写真のようにリアルに描く方法が多いです。もちろん、ピカソなどを代表する感性豊かに描く作家もいます。洋画から日本画に転身した川端龍子などの作家もいます。当時川端龍子は、「日本人が描いた洋画なんか世界では通用しない」と感じ、日本画に転身したそうです。洋画、日本画を比べると、圧倒的に洋画の方が有名で、日本画は世界では見向きもされない絵画と言われます。ですが、一部の間では日本画のファンもいて、数少ない日本画の代表作が世界に散らばっていることも有名な話です。
■版画
版画は、美術の授業でもあったと思いますが、板などに彫刻等などで傷や穴などをつけ、板にインクを染み込ませ、紙に写すのが版画です。大雑把な説明ですが、大まかには合っています。版画には種類が4種類あり、凸版画、凹版画、平版画、孔版画があります。版画を作る版も、板、銅、ゴム、芋、紙と数多くあります。版画を刷る枚数に、決まりはありません。100枚刷る人もいれば、1枚ということもあり得ます。版画にはエディションナンバーが記載されるのが決まりです。昔の版画は、ナンバーが記載される決まりはありましたが、裏にナンバーを記載し、表にはナンバーを書かずに、額で絵と額の隙間を埋めて、本画のように見せるというのが流行ったことがあります。これは、本画と言って、版画を売りつける詐欺が増えたため、基本的には廃止になりました。シリアルナンバー以外にも、「E.A」「A.P」はアーティスト保存版、「H.C」は、非売品、「T.P」は保存版、「P.P」は贈呈用などの決まりがあります。ですから、シリアルナンバーが1分の1になっていたとしても、世界で1枚だけというのは嘘です。版画は、昔は本画の代わり、本画を買えない人用のために作られたという意味が大きかったです。それは、エディションナンバーや、作家のサインを表に出さないことでも、わかると思います。ですが、版画家の作家(加山又造、棟方志功、ヒロ・ヤマガタ)が出てきたため、版画に価値が生まれました。
その他にも、「水彩」「デッサン」「浮世絵」「ペン画」「ちぎり絵」「水墨画」「近代アート」など、数え切れないほどの種類がありますが、細かな説明は割愛させていただきます。